はじめに
約2週間前の夜の出来事。突然、GEZANのメンバーのSNSを見たと連絡してきたBELONG編集長の矢部さんは、私にこう言う。
「ただひたすら、全感覚祭への思いをぶちまける記事を作ろう。」
主催者も、関係者も出てこない。ただただ、全感覚祭の魅力を語るだけの記事。
一見、馬鹿げた記事だって、思われるかもしれない。でも、それもいい。
何かをせずにはいられない何かが、ここにはある。そう、思ったから始まった。
“全感覚祭への思いをぶちまける記事”を、さあ、とくとご覧あれ。
The Beginning of "GEZAN"
「GEZANなんすけど、僕GEZANは、大阪に居たときから実は知ってたんすよ。」
―ああ、もう最初っから?
「そう、結構出てきてすぐだったんじゃないかな。大阪でタワレコ行ったときに、試聴機のとこで、下に山って書いて、え、これ何て読むん?っていうバンドが居て。あ、これ“ゲザン”って読むんやって知って。何このバンド?って思って、確か、そん時試聴したと思うんすよ。割と出てすぐぐらいの、彼らの音源を。その時何か、ボーカルのマヒトさんの声が結構苦手やったんすよね。声高いじゃないすか。あ、これ無理やな、と思って。で、聴かなかったんすよね、そっから。
そんで、“下山”てゆうやつらがおるんやって認識をして。で、彼ら赤いじゃないすか。赤いし、言ってることも何か、すげえこと言ってんな、この人達って。大阪って結構その、キワモノバンドが集まるライブハウスとかあるから、その辺のシーンの人達なんかなって。で、そっからもう、自分の聴く音楽じゃないわっていう風に思って、思ってたのがGEZANとの出会いでしたね。」
―(笑)
「だから、出会いは最悪だったんすよね。」
―なるほどー。
「そうそうそう。何きっかけで知ったんすか?そもそもGEZANのこと。」
―私は、何かネットとかでちらちらと目に入るようになって。あの、うちのサイトLOSTAGEにインタビューさせてもらってるじゃないですか。
「はいはいはい。」
―LOSTAGEとスプリット出してるんですよね、GEZAN。で、その時はまだ、スプリット買うかな、買わないかなとか思ってるうちに、機会を逃して、もう今は買えなくなってしまったんですけど。買えば良かったなって後悔が残ったままずっといて。そこから何か、GEZANの情報をだんだんと目にするようになってきて。で、音楽を聴いてみたり、何回かしてるんですけど、何かまだ、タイミングじゃない、みたいな感じでずっときてて。
「はいはいはい。」
―何ていうか、気になるけど聴かないっていう・・・。
「あー、ありますよね。」
―すごい気になる、みたいなのはずっと続いてて。ちょっと聴いてはタイミングはまだだな、みたいな感じで。でも気になるからまた聴いたりっていうのをずっと繰り返してて。
で、去年ですね。去年の全感覚祭の映像とか、ネットの盛り上がりとか、見てたら凄かったじゃないですか。見ました?去年のやつ。
「全感覚祭、去年は見てないかな。」
―私も行ってはなかったんですけど、ネットとか動画とか見てて、すごい、すごいなーって。何だろう?あんまり見たことがない雰囲気だったというか。よくあるフェスの雰囲気っていうよりも、秘密集会みたいな。何だこれは、と思って。そこから、全感覚祭が気になったんですけど。
「うん。」
―まだGEZANをそんなに聴かずにいたから、全感覚祭は気になるけど、記事として取り上げるってどうなんだろうか・・・とか思いつつ、でも気になるなって。GEZAN、いつかライブに行きたいなって、ライブに行ってから聴きたいなっていう。
「堂々めぐりしてたん?」
―そう、ずっと、思い続けてて。でも、なかなかライブの予定が合わなくて。関西のライブ情報を確認しては、日程的に無理やなっていうのが続いてて。でも、何か気になるっていうのはあったんですよ。
「うんうん。」
―そうやって、まだタイミングが来てないなっていうのが続いてたんですけど。この間、本を読んで。マヒトさんの『銀河で一番静かな革命』。
「あー。」
―あれがすごい、良くって。何か、本がすごい、胸にこう。ぐっと刺さった感じがして。そっから、もうめっちゃ、GEZANが気になりだして。で、見に行ったんですよ、『Tribe Called Discord: Documentary of GEZAN』。
「ああ、GEZANのドキュメンタリー映画の。」
―そう。京都の出町座に、夜の道を走って見に行って。映画もすごい良くって。GEZANを今じゃないなって思い続けてたのは、何かこう、それこそ触れてしまうと、はまりそうというか。入るのに、抵抗がある。最初は良くわかんないから、ちょっと触れるのが難しそう、みたいな感じで。でもこうやって、ガッと触れてしまうと何かもう、めっちゃ気になる、みたいな状況になってて。今、Steve Albini録音の『Silence Will Speak』を聴き直してるんですけど、前聴いたときよりすごくいいなあってなってて。何か、そのきっかけがやっときたっていう。タイミングですね、私は今が。
「僕も、実はその、最初無理やって思ったんすけど、その後何回か聴くタイミングっていうのはきてて。例えば、このバンド、前のドラマーが24時間ドラムを叩き続けるってことをしてたと思うんですよ。」
―(笑)
「で、え、マジでゆってんの?って思って。」
―ははは(笑)
「まじで、24時間ドラム叩き続けるのかこいつらって。で、やばいな、と思って、こんなやばいバンドやったら、もう一回聴いてみようと思って。そんときの曲も聴いたんすけど、いや、やっぱ違うなと思って。やっぱ、ボーカル、好きになれんわ、と思って。」
―うん。
「で、その後もSteve Albiniがきたから、いや、今回か、と思って。」
―うんうん。
「と、思ってまた聴いたけど、やっぱ無理やっていうことが結構あって。BELONGとしても何回か取り上げようって試みはしてきたけど、音楽的に好きじゃないとインタビューしたくないっていうのがあるから、ずっと遠慮してたっていうか。いや、違うなって思い続けてきたけど。今回さ、全感覚祭のイベントやるにあたって、マヒトさんが最初、文章を出してたかと。」
―はいはい。
「で、その文章が、ものすごい良くて。」
―圧倒的でしたね。
「その文章っていうのが、何かもう、めちゃくちゃ生々しいんやけど、ものすごい正直で。何て言ったらいいんかなあ。・・・美しさがあるっていうか。」
―分かります!
「その感じの文章かける人って、今まで見たことがなくて。ここまでかけるっていう人。ミュージシャンでも文章書く人って結構いるけど、ここまでのレベルっていうのは。小説家とか、そういうレベルの人達と比べても全く遜色がないし。」
―うんうん。
「や、ほんまにすごいな、と思って。文章が。で、今回こういう企画やりましょうって話したんすけど、BELONGやってて初めてかもしんないすね。文章がここまで良くて、イベントも面白いことしてて、音楽以外の部分から取り上げようと思ったのは、GEZANが初めてだと思います。」
圧倒的ステートメント
―でも、多分、矢部さんもう少ししたらね、音楽も気になり始めるかもしれない(笑)。もう、ひと声。
「そうですかね。」
―やっぱり、音楽の中にも、美しさみたいなのがあるんですよ、GEZANには。
「そう、だから、だから実はさ、この企画するってなってから、もう一回聴いてみようかなって思って。(笑)」
―ふふふふ。
「で、もっかい聴いて。多分さ、今までも聴き直してきたんやけど、前と違うのはもう、この人達は本当にすごいんやなって、文章読んで、思い知らされて。いざ、さっきGEZANの『DNA』って曲聴いたら、あれ、意外と・・・。」
―そうなんですよ!
「声はやっぱ違和感があるけど、ああでも、曲、いいなって思ったし。何だろうね、何か不思議な感じがした。」
―そうなんですよ、何かね、入るごとにどんどん何か、魅力が沁みてくるというか。一個ずつ扉を開けていく感じというか。
「うーん。何かその感じって、洋楽っぽい。」
―あー、なるほど。
「海外の音楽でいうと、僕が洋楽聴き始めたのって、2007年ぐらいで。Arctic Monkeysが出てきて、セカンドアルバム出したときぐらいの時期なんですよ。」
―うんうんうん。
「そんときに、MTVとかめっちゃ見てて、で、そのArctic Monkeysの新曲と一緒に、The Strokesのサードアルバム『First Impressions of Earth』の、2曲目 の「Juicebox」がかかってて。それ滅茶苦茶気持ち悪かったんですよ。ほんまに。」
―(笑)
「ほんまにめっちゃ気持ち悪くて。でも不思議なことに、今一番好きなのは、その曲が収録されてる、サードアルバムで。もう何回も、アルバム最初から最後まで聴けるな、ってなってて。多分、その感じなんかな。」
―うんうん。そういう音楽ほどはまるというか。自分のタイミングがきたらはまる感じありますよね。
あとすごい、行動がすごいから。行動力もそうだし、発言もちょっと、際立ってるところとかもあるじゃないですか。入るときに抵抗がある人、多分いると思うんですよ。私もちょっと、入るきっかけがよく分からなくて、でも気になるみたいなことがずっと続いてて。
「うん。」
―入ってしまえば、何かズブズブはまっていく感じ。
「うんうんうん。」
―音楽も、最初は多分、自分の感覚とそこまでマッチしてなかった時期がずっとあったけど。多分、あの文章を読んでから。小説も読んで、言葉がすごいなっていうとこから。あと、ドキュメンタリーのライブシーンとかもすごい良かったんですよね。そういう風に、違う扉から入っていった感じがするんですけど、それがはまってしまって。さらにこの全感覚祭で、めちゃめちゃすごいこと、やってるなあっていうので。あのステートメントに心動かされなかった人はいないんじゃないかなってぐらい。
「すごすぎたわ、まじで。」
THE インディペンデント
「あと、このイベント自体がさあ、投げ銭やから、極端な話タダで来ることもできるし。しかも、フードもフリーって言ってるんやから。タダでご飯を食べるって、意味わからんくない?(笑)」
―はは(笑)
「意味わからんっちゅうか、その、まじで石原軍団の炊き出しかよ、みたいな。」
―ふふふ(笑)
「そんなことって普通、イベントやのにさ、あり得ないじゃないすか。そもそも、入場料あるもんやし、で、かき氷とか食べようもんなら、少なくとも500円ぐらいはかかるわけで。」
―うんうん。
「それはもちろん、出店料があってさ、イベントが成り立ってるって意味もあるから。それが完全にフリーなわけやからさ。もうはちゃめちゃすぎるよね、これ。(笑)」
―最初に二人で全感覚祭の話をして、投げ銭で、今年が上手くいかなかったら来年は無いかもしれない感じでやってるらしいって話した時に、何か試すような感じでやってるのかなってことを私言ったと思うんですけど。矢部さんが、「それって信じてるってことだよね。」って、言ったじゃないですか。あれがね、ぐさっときてね。
「いや、それしかないでしょ。」
―そうかあ、それすごいなあって。
「もう、このイベントっていうのは、何つったらいいんかな。多分ね、マヒトって人は、めちゃくちゃロマンチックなんやと思うけど、今、この時代にさ、人の繋がりっていうものを信じようとしてて。そこを本気で信じてるからさ。まあ言ったら、命綱なしでさ、飛び降りてるようなもんやん、このイベントって。」
―うんうんうん。
「でもさ、下でちゃんと受け止めてくれる人がいるって信じてて飛び降りるわけ。で、じゃあ、それ誰が受け止めんねんって、俺らがまずやらんとあかんやろって。
だってさ、BELONGって、これまでインディペンデントって特集してきててさ。で、これ、一番インディペンデントなイベントやん。だって、会場もさ、自分達で会場探ししてやってるわけで。だからその、手作り感も手作り感やし。やってることも、何でもフリーにしちゃう、っていうのはもう、信頼関係あってこそっていうか。」
―本当そうですね。
あと確か、大阪の会場は去年と同じROUTE26周辺ですかね。今度ね、ROUTE26がFANDANGOになるんですよ。
「ああ、これ、FANDANGOのこと?あれやんね、十三、から。」
―そうそう、去年はねROUTE26やったんですけど。その周辺にステージがあって、ROUTE26も使って、っていう感じやったと。今年、10月1日からFANDANGOが堺に移転して、で、移転前なんですけど引っ越し作業終わった後に全感覚祭に使われるから、そのお目見えもあったりして。
「ああ、じゃあ全感覚祭で、移転したFANDANGOに名前を変えてこけら落し公演になるってこと?」
―こけら落しはね、10月1日なんですよ。でも、こけら落し前の、堺FANDANGOみたいな感じですかね。
「なるほど、こけら落し前の前みたいな感じ。」
―そうなんですよ。
「GEZANはよくFANDANGO出てたってイメージあったから、それも何か、必然のような感じするし。」
―そうそうそう。で、東京の方は今、何かYouTubeに公開されてますよね。確か、東京のステージになる場所。すごい場所で、何か、ここを・・・?みたいな。つい最近、草刈りしてはった。
「あはははは(笑)。」
―十三月のメンバーの皆さんとかと、多分ボランティアの方と。草刈りからやるんや!っていう。
「すげえなあ。」
―ほんと手作りなんやって。まだ何にもなくて、登り台っていうか、人が登れそうな、まあ、そんなところがあって、あそこら辺がDJブースみたいな感じで話してはって。YouTubeで。
「まじで?すごいな。」
―でも何かその、まだ草もあるその風景に、アーティスティックなイメージがすでにあるみたいで。この空間をどう生かすか、みたいな感じの。
「ていうか、そこから見せちゃうっていうのが、面白いよね。」
―そう!すごい面白い。
「あのさ、HAPPYがさ、京都でイベントやったやん。」
―やってましたね。
「うん、あれもさ、BELONGで話聞いたときにさ、設営も自分達でやって。最初草刈りから始まりましたよ、みたいなこと言っててさ。」
―はは(笑)。やっぱり草刈り!
「まじで?と思って。そんなことしてたの?って言ってたけど、まじで同じ感じなんやって思って。まじで、インディペンデントにもほどがあるやろ、みたいな。」
―すごいですよね。
「いや、もう何か、正直さ。このイベントってさ、無謀にもほどがある、と思うけど。思うけどさ、これがあるっていうのが、絶対誰かの救いになる、と思う。
―うん、絶対そう。
「これは、もう、今回もそうやけど、これからも続いていったら、ほんまにいいと思うから。」
―うん。続けてほしい、というか。続けてほしい、じゃないんですよね、多分。続けていくために、皆が動く。みたいな、そういうイベントなんですよね。何か、誰かにやってもらうイベントじゃないっていう感じがするんですよ、全感覚祭って。
「うんうんうん。」
―自分達が続けていく、っていう気持ちで、多分、お客さんも、お客さんっていう感じじゃなくて。調べたら、2014年の全感覚祭のコンセプトが「何もないフラットな場所で遊ぶ、子供の頃遊んだ公園のように自由な場所をつくること」で、そういうとこから始まってるみたいで。演者とか、お客さんとか、そういう感じの垣根なく、みたいな。
「うんうん。」
―だから、全感覚祭をやっていくのは、多分、十三月のメンバーだけじゃなくて、皆なんですよね。見に行く人もそうだし、募金する人もそうだし、ボランティアをする人もそうだし。全員がいて、続けていくというか。だから、頑張って続けてほしい、じゃなくて、自分達も頑張って続く、イベントなんかなって。
「来る人の協力なしには100%成り立たへんっていうのが、決まりきったイベントってことやもんね。」
―そうそうそう。
「何かさ、バンドの人とかよくゆうやん。イベント皆で作りましょうって。でもさ、その前に、もう話ってある程度決まってるやん。皆で作るって言うけど、もう、できちゃってるやん。でも、このイベントってまじで俺らが何かせんとさ、どうしようもないよね、ってイベントじゃない?」
―うんうんうん。
「演者側とか主催者側の話だけじゃなくて。俺らがどうにかせんとさ、何かどうにもならへんっていうか。俺らが参加しないと、まじで続いていかないっていうのが明確に分かるイベントっていう。俺らがどうにかせんと、今後開催もないやろうなって。いうのはありますよね、今回。」
―ありますよね。
でも、思うんですけど。矢部さんが言った、他のアーティストも皆で作りましょうって言うっていうお話。何かそこはこう、ある程度最初っから決まってはいるんだろうけど、全感覚祭は結局、それが拡大したことなんじゃないかっていう、私は印象があって。
「拡大したことっていうのは?」
―拡大したっていうのは、結局その何だろう。ライブハウスでやってることとかが、おっきくなってる。根っこのところでは、そういう風にシーンを作ろうって意識の人達がやってることと通ずるものがあると思うんです。やっぱり、ライブハウスの中では、お客さんと作ってるっていう感覚でライブハウスで働いてる人達もいるし、もちろんバンドの人達も。その延長で、すごい大きい規模でやるから、ほんまにたくさんの人がいないとできない、みたいな。そういう感覚もあるかな。
「うん。」
―ライブハウスも結局、お客さんが足を運ばないと成り立たないし。バンドもそうだと思うし。何かその辺を、全感覚祭をやることで、お客さん達の音楽への意識を変えそうな気がするなって。何て言ったらいいんかな。結局は、そういう場所を一緒に作ってるんだよっていうのを教えてくれる感じがするというか。
「うんうんうん。」
―全感覚祭に限らずですけど、全感覚祭は一番分かりやすい形でそれを教えてくれてて、それが結局、その後のことに繋がっていくような気がするんですよね。全感覚祭って、あ、こうやって音楽って、皆で作って守るものなんだ、みたいな気がするじゃないですか。何か、自分が何かしなきゃ、みたいな。それが結局、その後音楽を聴いていく上で、いい風に作用してくるんじゃないかって思って。音楽って普通に鳴ってるもんじゃないなって思うんですよね。誰かがすごい頑張って守ってて、そのことを聴く人が知るきっかけになるのが全感覚祭、みたいな感じがするなーと思ってて。
「その、やる側の裏を全部見せてる感じっすよね。」
―そうそう。
「予算こんだけかかるっていうのはさ、普通さ、イベントって言わないじゃないすか。でも、全然今回言ってるし。」
―うんうんうん。
「だから裏側を全部見せた上で、じゃあどうする?下で落ちてくんの支える?ちょっとやめとく?みたいな、話じゃないすか。だから、こんだけ裏側を見せてやれるっていうのはもう、ほんまに勇気しかないすよね。 」
剥がれるフィルター
―あと、何かすごいGEZANって原始的な感じがするんです。
「ああ、それめっちゃ分かります。」
―原始的って、悪い意味じゃなくて、こっち側の、こう生々しい感じを剥き出しにさせる、というか。初期衝動とか、ほんまに本能的な部分を。多分、彼らがすごい本能的な部分を全開にして活動されてるからだと思うんですけど。
「普通、どっかでフィルターかけるじゃないすか。ここは出したらあかんな、っていう。それがない。」
―ないですよね。ま、多少あるかもしれないけど、そういうのが全然かかってても、何か出てくる、みたいな感じする。
「うん。そうそうそう。」
―でも、もしかしたら、あったのかもしれない。私が最初とっつけなかったのは、ある意味フィルターだったのかもしれない。何かそこを抜けたら、すごい、自分に迫ってくるというか、自分も、ああこういうことしたい、という気持ちにさせる。不思議な、感じですよね。
「もしかしたら、自分にフィルターがかかってたんかなって、思う気もする。」
―あ。確かに。
「めっちゃ声高いボーカル、男性ボーカルで、とかさ。偏見ていうか。何か、もしかしてそういうのもあったんかなって。」
―うんうんうん。
「でも実際さ、文章すごいの書くやんって思った瞬間に、あ、曲もいいかも、みたいな。ちょっと単純やけど。(笑)」
―そう!でも実際、当たり前だけど、Albini録音いいな、とか。すごい奥行きが、とか。だからやっぱ、曲もええなあ、みたいな感じに(笑)。
「そらな。でもやっぱりそこにさ、俺が聴いたときそこまでいかんかったていうか、ああ、ボーカル苦手やわってなってしまってたから。それは単純にそこに行く前に、何かしら自分にフィルターがあったんでしょうね。」
―そうかもしれない。うんうんうん。
でも、全感覚祭の、矢部さんが言う命綱無しで飛び降りる感覚っていうのもすごい分かるんですけど。何かこう、タイトロープって、綱渡り。あの綱を渡ってるって感じもあって。
「いや、正しくそうでしょ。」
―それを、マヒトさんが飛び降りるっていうのもあるかもしれないけど、お客さんが、目隠しでその綱を渡ったら、すっごい景色が見れるよって言われてるような、そんな印象もあるんですよね。
「お客さん側がってこと?」
―お客さん側も無心で信じる、みたいな。
「あー、お客さんも俺らと一緒に綱渡りしようや、ってこと?」
―そうそう、一緒に。何ていうんだろう、GEZAN自体が、ここに飛びこんだら、すごい景色が見れるって感じしません?
「あー、なるほどね。」
―もう、それこそ、フィルターみたいなもんなんですよ。その綱を渡るか渡らないかみたいな。でも、その綱をね、自分達を信じて渡ったら、すごい景色を見れるんだよって。何か、そういう感じがするのが全感覚祭のイメージで。
「確かにそうかもね。」
―お互いに信じる、みたいな。
「いや、もう、そこに尽きるんじゃないすか。ほんとに。」
―うん。すごい思うんですよね。
「あと、今回のこの話する前に、一回GEZANのマヒトさんのインタビュー読んでおこうと思って、読んだんすよ。CINRAに出てる記事で、今年の5月なんで、その全感覚祭についてのインタビューじゃなくて。割とその、自分が社会をどう見てるかみたいな話、だったんすけど。社会に対する違和感ていうか。何か、あらゆることに疑問を持つことが、大事なんだよっていうのをそのインタビューでは言ってて。で、その、それを形にしたのが全感覚祭ちゃうかなって。」
―なるほど。
「ていうのもさあ、俺らも全くそうやと思うんやけど。BELONGっていう雑誌を作るときに、アーティストからお金をもらってないじゃないですか。でも、とあるフリーペーパーが、アーティストからお金をもらってインタビュー記事を出すっていうことをしてるんですよ。実際に。で、それでちゃんと成り立ってると。雑誌として、フリーペーパーとして。で、イベントもそうじゃないですか。イベントもフードってところでお金をもらって、出してると。だから、彼はそういうとこに疑問を持って、いや、別にフードってタダでもいいんじゃない?って。そういう疑問を持つってことから、このイベントがスタートしたんじゃないかなって思ってて。」
―うんうんうん。
「で、その出発点って、結構BELONGと近い部分があるんちゃうかなって。俺もその、他のフリーペーパーとか見て、これやり方どうなの?ってところから、BELONGになってる訳で。だから、割と根っこの部分て、そんなに遠く離れてるもんじゃないかなって。」
―近いと思います。
「そう、だから、すごい今回は・・・。だからかな。俺らが絶対これは何かやっとかなあかんって思ったのは。」
物々交換の法則
―確か、フードフリーっていうのは今年からみたいで、何か、食べ物だって、食べるのあなたじゃない、みたいな感じのことがステートメントに含まれてたと思うんですけど。そうか、そういうことなんだ、って思って。フードはお店が出してるって感覚でずっといたけど、何か、根付いてる当たり前をひっくり返すみたいな、感じがしましたね。
だから多分ね、すごい音楽自体の価値も、ひっくり返してくれそうな気がして。全感覚祭って。何か、ちゃんと対価を払え、というか。払え、とは言ってないけど、一言もね。でも、音楽って今何かこう、払われるべき対価が・・・。
「払われてない。」
―そう、払われてないこと多くないですか?
「めっちゃ分かります。それ。」
―それがすごい、納得がいかない、というか。
「でも、それ皆、普通やと思ってると思う。タダが普通って。」
―そうなんですよ。だからそれをね、すごい覆そうとしてる人達がたくさん居て。GEZANももちろんそこに含まれてて、で、そういうことをちゃんと伝えていく、一番分かりやすい形が全感覚祭だなって思いますね。
すでに今も、何で音楽に支払われるべき対価が支払われてないのかってことに納得いってないリスナーもたくさんいると思うんですけど。それを、全感覚祭はもっと多くの人に教えてくれる気がして。そういうこともあって、ずっと続いてほしいというか。
「うんうん。」
―そういうことを訴え続けてほしい、というか。あと、もっと純粋な部分もあると思うんですよね。投げかけてるのは、結果として投げかけた感じになってるのかもしれないけど。それよりもっと何かこう、純粋に“場所”を作る、というか。
「うん。」
―さっき、BELONGがお金もらってないっていう話してたじゃないですか。インタビューって、そのために、インタビューするにも時間作って、労力使ってやってるんですよね。
「単純にコストかかりますもんね。時間もかかるし、お金もかかる。」
―そう、時間もかかるし、気力も要るし。でも、すごい作ってる感がある。何か、自分達が身銭を切ってやったことって、すごい思い入れが強くなるというか。で、そのために使われているものとかも、分かるようになるし。
だから、全感覚祭も全部をさらけ出してるから、そのことがすごいよく分かるし。どうやって作られてるか、音楽がどうやって流れてるか、こういうフェスができるのか。で、それを、一緒に作るっていうことで、さらに全感覚祭に対する思い入れも深くなるじゃないですか、皆。何かやっぱ作ったり、自分が大事に思ってお金を出したりしたものって、残るんですよね。絶対に。
「いや、残りますよ。絶対。」
―だからそういう、価値も皆、思い出すんじゃないかな。このイベント。
「だから何ていうか、さっきの原始的っていう話ですけど、僕は多分このイベントって物々交換の法則に近いって思ってて。」
―あー、分かります!
「こっちも何か提供するから、そっちも何か提供してっていう。昔と今ではそれが違う形になってるのかもしれないけど、結局やってることって昔とそんな変わってなくて、で、その原始的な部分をもう一回ひっぱり出してきたっていうか。それが、面白いと思いますね。ある意味すごいシンプルやし。」
―シンプルですよね。やってることが。だからこう、こっちもシンプルに考えられる。やっぱり皆、構えちゃうじゃないですか。世の中のことに対して、全部。ある程度の年齢になると、構えて、熱意とかたくさんあっても隠してしまったり。本音も濁してしまったり。でも何か、全感覚祭の前だと、全部熱く語っていい気がするんですよね。
「ていうか、何か自然とそうなる感じってありますよね。それはやっぱ向こうが、熱意あるからじゃない?それがダイレクトに伝わるからさ。」
―そうなんですよ。だから、何かこの、一見、私達が喋ったところで記事にして・・・そりゃもちろん、直接インタビューできた方がいいのはいいんですけど。でも、それさえもいいんちゃうかって。ただ全感覚祭を語る記事っていうのがあってもいいやって、いう気持ちにさせてくれるというか。矢部さんがこの企画を始める前に言ってた、もうただ思いをぶちまける、みたいな。(笑)
「うん、それで、十分やと思う。(笑)」
―そうそう(笑)。もういいやん、それで、みたいな。気持ちになりますよね。それが不思議というか。何か、音楽ってそういうところがある気がして。音楽のことって、すごいピュアに語っていい気がするんですよ、私。
「語らんと、嘘でしょ。語らんと、嘘やと思う。それは。」
―・・・うん。だから何か、全感覚祭もそういう、イコール、音楽みたいな。
「嘘がないんじゃないすかね。やっぱ。」
―ああ、そこにね。
「うん。何か、いやらしさっていうかさ、胡散臭さみたいなんも、ないし。」
―ないですよね。何か、がむしゃらな感じがすごい、いいなあと思いますね。隠すところがないし。あんなに、走れる感じというか。
だんだん年齢を重ねていくと、足枷じゃないけど、そういうものがあって。ネガティブな意味か、ポジティブな意味か分かんないけど。なかなか動けない事情とかあったり。温かくて安心できる囲いとかってのも、ある意味、自由にできなかったりするじゃないですか。守られてるがゆえに、動けない、みたいなことも。そういうの全部、取っ払って、そんな風に動けるっていうのは、すごいインパクトがありません?
「うん、ある。あるし、かといって、本人達はかなり迷ってると思う。迷ってると思うし、単純に不安なんやと思う、向こうも。このイベントってむちゃくちゃやからさ。見方によっちゃ。」
―うんうんうん。
「ほんまに成功するか、ほんまに当日迎えれるかって不安なんやと思うけど。でも、俺らがこういう風にさ、記事出すことで、応援してくれてる人が少なくとも一人はいるんやっていうことを、主催者側であったり、バンドに伝えるのが一番大事。」
―そうですね。
「で、もちろん今回、めちゃくちゃ費用かかってるけど、もしできることなら、募金でバンドとか主催者側が借金しないようになればいいと思ってる。イベントが終わった後で、借金あるわ、どうしようってのは思ってほしくないから。俺らが出来ることはしたいと思ってるって感じかな。」
―うん。
「別にそれが、募金という形じゃなくてもいいと思う。俺らみたいにこういう記事を出すとか。Twitterでアカウント持ってるんだったら、リツイートするだけでもいいと思う。自分の意見をSNSで言うだけでもいいと思うから。
このイベントをさ、目にした人っていうのは、何かしら発信したいっていうパワーを持ってるんじゃないかな。」
―この全感覚祭にちょっとでも惹かれた人は、どんな形でもいいから行動してもらえたらいいなと思うんですよ。自分達のやり方で、目立つようなやり方じゃなくてもいいと思うし。募金ももちろんだし。クラウドファンディングで協力する形もあるだろうし。ボランティアでもいいと思うし。心が動いたんだったら何でも。何かね、自分達が好きなものを守りたいなら、どんな形でも動いていいんじゃないかなって、思いますね。
「まじでだから、イベント当日行ってさあ、イベント手伝うとかでもいいと思う。投げ銭しなくてもさ、極端な話。だから、このイベントっていうのはさ、考え方次第でどういう参加もできるってことやと思う。」
―うん。出来るできる。出来るけど、投げ銭はちゃんとしてほしい(笑)。
「まあまあまあ(笑)。ていうか、物々交換って思ってほしいって感じかな。」
―そうですね、お金っていうか、物っていうか。自分達が出せることっていうか。何かきっと、ブッキングはね、毎年来てくれる人の顔とか。ブッキングしたバンドのファンの人とか。これから来る、新しい人のこととか。そういうのを考えながら、きっとブッキングやってる気がするんですよ。
「だって、THE NOVEMBERS出てるもん。今回のイベントにさ、多分一番、BELONGで取材してる中での話やけど、一番共感してるのはTHE NOVEMBERSやと思う。彼らはずっと、“選ぶか”っていうのがタイトルだったからさ。何を選ぶかって。その思想は、もう全くさ、今回のイベントと一緒やと思うからさ。」
―BELONGでは長くTHE NOVEMBERSを取材されてるじゃないですか。だから感じる部分もあると思うんですけど、THE NOVEMBERSの小林さんて何かをするってなったときに、しっかり考えるような思慮深さがある印象があって。でもこの、全感覚祭の募金がちょっと足りないかもって話になってから、小林さんも参加してるクラウドファンディングが決まるまでめっちゃ時間短かったじゃないですか。そういう風に、がむしゃらに他の人もやりたいって、出演するアーティストもやりたいって思うんだろうな、って感じましたね。それ見てて。
「いや、思うと思うよ。だって、俺らですら、今までやったようなことないさ、こんなん今までやったことないやん、だって。」
―そうですね(笑)。
「それでも、何かやらなあかんわっつってさ、こういう形の企画もしてるわけやから。アーティストやったら尚更ちゃう?俺らもやるわ、って感じになるんじゃない?」
―だから、そういうのもシンプルでいいなって。何か、人の、さっき言ってたフィルターみたいなものも取っ払ってしまう、魅力というか。そういうのが、ありますよね。
「ていうか、こんなイベントさあ。他、絶対ないよ。」
―うん、ない。
「まじでさ、こんだけ嘘のないイベントって今後ないと思う。」
―うん。だからこそ何か、ずっと続くように、できないかな、と思いますよね。
「うん。」
―例えば、今、事前の募金はちょっと足りないとしても、行った人がね、当日も出来るし、もう何だったら、終わった後でもいいんちゃうかって思うんですよ。来年また、やれるように、方法って、色々あるじゃないですか。別に、絶対にこのやり方じゃないといけないってないと思うから。
「ないんじゃない?だって、俺らもさ、この企画やったけど、多分こういうイベントじゃないと、こういう形に絶対ならんかったと思う。こういう発想って出て来んかったと思うよ。」
―うんうん。
「だからそういうのって、イベント参加する人って、何かしら考えるんちゃうかな。今まで、こういうことやったことないけど、トライしてみようって思えるぐらいのパワーのあるイベントやと思う。」
"救い"の祭り
―だから、来年行こうかな、みたいなことができないんですよね、多分。今年、何かアクション起こしとかないと、来年ないかもしれない。っていうのは思っておいた方がいいんやろなって思って。
「今年仮にさ、返済不能なくらい大借金してしまったら、来年なんて100パーないわけやから。」
―そうだから、今年ね、今ね、皆何かしとかないと。絶対ね、このイベントをなくしちゃ駄目だなっていう、イベントですよね。ほんとに。
「えーでも、何かあれやんな。後々さあ、幻のイベント、とか言われんの嫌じゃない?」
―嫌、嫌、嫌。
「何か、120年続いてる伝統の祭りとかあるやん?日本って。何かもう、そういう感じになってほしいなって。」
―ああ、いいですね!それね。何かね、フェスティバルじゃないんですよ。“祭り”なんですよ。
「そうそうそう、フェスじゃないよな。フェスじゃない、確かに。“祭り”って感じがする。まじでその、超土着的な“祭り”に近いっていうかな。」
―でも、多分その土着が全国でいいんですよね。なんなら、海外でもいいぐらい。その、土地だけじゃない、何かこう、全体でやっていい、みたいな。
「そうそうそう。」
―色んな人がきてやっていい、何か感じた人なら皆、みたいな。
「だから別に、地方に住んでる人でもね、このイベント行けんけどさ、何か、超いい、とか。募金とかして、で、まあ、今回は無理かもしれんけど、それが何回か続いていったらさ、フジロックみたいに中継とかできるかもしれんやん?」
―そうだから、多分地方でも、全然自分で作れると思う。その場に、居る人だけのものじゃないですよね、この“祭り”。
「うん、“祭り”(笑)。」
―そう。フードフリーもすごい、色んな土地の人達が協力されてて、何か自分が出せるものがあったら出したいって、思うんですよね、きっと。農家の方だったら農作物だし、料理を作れる人だったら作ること。で、私達だったら記事がかけるから記事だし。何か自分が出せるもの、別に、出せなくてもいいし。気持ちだけでもいい、みたいな。やれること何でもいいから、やって作ろう、みたいな。だから、思い切って一歩飛び越えてほしい。私もずっと飛び越えられずにきたけど、一歩飛び越えたらもう、すごい眩しいんですよ。全感覚祭が。
「でも、“祭り”ってさあ、普通、神様に対してとか、収穫に対して行われると思うんやけど、そういうんじゃないっていうのもまた面白いよね。」
―うんうん、確かに。でも、救いの場所、みたいな感じはありますよね。
「ああ、そうやね。救い、救いっていうのはあるかも。多分、根本的に始まってんのがさあ、マヒトさんの体験やと思ってて。自分が極貧生活のときにさ、食わせてもらったって。ほんまに単純にそこからフードフリーって発想って出てきてると思ってて。だからその、救いっていうのは確かにテーマにはあるかもしれん。」
―何か、BARKSのインタビュー記事の中で、マヒトさんが全感覚祭を「5000人のひとりぼっちがいるイベントにしたい」って言ってて、それ見て、ひとりぼっちでも何か感じられる。どんな楽しみ方でもいいし、どう感じてもそれが正解っていうか。色んな人が居ていいみたいな、感じしました。同じようなジャンルで、同じような人達がいるような感じじゃないんだろうなって。きっとお客さんもね。
「絶対、そうやと思う。変な人しか来んと思う(笑)。」
―(笑)
「変な人って言ったら失礼やけど。」
―何か、そういう居場所でもあると思う。マヒトさんが“街づくり”って言ってたんですよね、全感覚祭っていうのは、確か。でも、街って色んな人がいて、色んな価値観とか持ってる人達がいて。でも、それでも成り立っていくし。だから、救いっていうのは、そういう場所があるっていうのが救いだったり。そういう音楽があるっていうことが、救いだったりするのかなって。
「そう。だから、俺がさっき変な人がいっぱいくるんちゃうかって言ったのは、正しく言えば、その会社っていうさ、例えば水槽があったとして、その水槽になじめん人って結構いると思ってて。」
―分かります。
「まさに、それが俺なんやけど(笑)。」
―(笑)
「もうさ、会社で仕事するっていうのは、何ていうの、あの水槽にいるのがすごい苦痛なわけ。その、水槽以外の価値観が認められてないっていうか。例えば、水槽の中に居て、陸にあがっちゃいけませんよ、とか。陸に上がるやつに対しては、何やっとんねん、て言われるっていう。」
―うんうんうん。
「でもさ、全感覚祭ってさ、別に言ってしまえば動物園みたいなもんで。その、泳いでてもええし、陸に出てもええし、みたいな。」
―確かに(笑)。
「そういうもんちゃうかなって。だから、例えば、会社になじめへんような人達にとっては救いの場になるんちゃうかなっていうのは、あるよね。」
―ある。
「うん。」
―何かそういうのって、音楽がある場所全部に言えることで、全感覚祭に限らず、ライブハウスとか音楽がある場所とかって、結構そういう感覚で私行ってたりするんですよね。何かこう、これがあるから、みたいな部分があったりして。
それと根本的にはやっぱ一緒で、そういうことを思いながらやってるアーティストとか、根幹にそういうところがある人達が、出演者として呼ばれてたり、全感覚祭を応援してたりする気がしますね。で、それに惹かれる人達が行こうという気になって、根っこにあるところが皆繋がっていけるというか。でも別に、皆一緒に何かやるって感じでもない。ま、皆一緒にやるっていう部分ももちろんあるんですけど。
「皆一緒にやるけど、やる方法が皆違う、みたいな感じ?」
―そうそうそう!何か持ってるものは一緒だけど、多分楽しみ方とか表現は皆違う。私は多分、一人で行くと思うんですよ。でも、友達とこう、ガッってやる人もいるだろうし、ダイブする人もいるし。お酒飲みながら見る人もいるし。何かその、同じものを持ってても、皆一緒にこれやれよ、みたいな感じじゃなくていいっていうか。
「分かる。某フェスみたいに、皆同じように手を挙げる必要はないよ、みたいな。」
―(笑)。そこはちょっと濁しますけど(笑)。だから、自分が自分でいられる。それこそ何かね、会社で違和感を感じてる人とか。そういうの分かりますね。
「うん。何か、社会に対してある程度違和感持ってる人が来るんやと思う。で、一番違和感持ってんのは多分、GEZANであったり、マヒトさんであったりするわけやから。そういうところに共感した人達が来るんやと思う。」
―しかも、社会に対する違和感を持ってる人達ってのは、多分結構な数いると思うんですよね。
「いると思うよ。言わんだけで。」
―そう。普通にしてる人も、すごい違和感を抱えてたり、幸せでも、何かちょっと孤独を感じてたりすることあるじゃないですか。そういう、何かが足りない、そういう人ってたくさんいると思うし、そういうのを満たしてくれるのが、全感覚祭とか、その全感覚祭に出る人達の音楽とか、そこで提供されてる食べ物とか。そういう場所なんかなっていう感じがしますよね。
「うん。そうやと思う。」
―だから、続いてほしいな、ずっと。とりあえず、今年を乗り越えて、乗り越えたら、すっごいものが見えそうじゃないですか。
「少なくとも今年、やね。」
―今年、乗り越えられたら。多分、これを乗り越えようと思ったら、すごい人達のパワーが要るじゃないですか。パワーとか、熱意とか、気持ちとか。そういうのが、集まる瞬間って、すごい景色が見れません?だから、それを乗り越える今年の全感覚祭、すごい、いい景色が見れるんじゃないかなって、思いますね。
「ある意味、絶景。みたいな。」
―うん、絶景。絶景が見たいし。
「そうやね、そこに尽きるよね、やっぱ。」
おわりに
―どうですかね?こんな感じですかね。
「うん。もう言いたいことは全部言ったわ。(笑)」
―(笑)。でもこれね、語るだけって記事がかえってこう、原始的な感じしていいですよね。
「うん、生々しくていいと思う。」
―うん、何かその、気取ってこうっていうより・・・。
「そう。そっちの方が嘘っぽく聞こえるから。それは多分GEZANに対して失礼やと思うわ。そっちの方が。」
―うんうんうん。何か分析とか、そんなんじゃないんですよね。
「うん、そんなんじゃない。」
―何かこう、ガッといって、ガッとくるみたいな。
「そうそうそう。何か大阪の人がさ、ガッといって、ガッていく、みたいな。擬音語、みたいな。そんな感じやと思う、まじで。」
―だから、これ見た人が、何かこう、何でもいいからやろーみたいな。もう本当に、そんな深く考えなくていい。多分、いいと思うし。参加したら絶対、すごい、すごい、いい景色が見れると思うし。だから何かちょっと、これを見て、ちょっと心が動いたら、動いてほしいな、って。思いは。
「うん。それだけっすね。」
―うん、そう、それだけのための記事。
「うん、そうやね。」
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[ Talk Session : BELONG Media × Strike A Chord ]
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【Event】
全感覚祭 2019
■ 大阪会場
2019年9月21日(土)@大阪・堺ROUTE26周辺
OPEN/START 11:00~
■ 東京会場
2019年10月12日(土)@印旛日本医大HEAVY DUTY
募金・ボランティア・フード募集
------------ Special thanks to the chief editor of BELONG Media : Tomohiro Yabe
BELONG HP : https://belongmedia.net/
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