1. 神谷監督はどういうきっかけで映像を撮ることに興味を持たれたのでしょうか?
僕は元々芸人を目指してて、1年程コンビを組んでたんですが、19才の頃相方と解散して、その後どうしようと悩んでた時ずっと映画ばかり観て過ごしていたんですけど、当時足繁く通っていた大阪のシネ・ヌーヴォという映画館の帰りに、あー俺も映画撮ってみたいなーという感情が沸々湧いてきたのを覚えています。
あと小学校の卒業アルバムに将来の夢を映画監督と書いていたのを最近発見しました。当時全然意識してなかったとは思うんですけど。
2. これまでライブ映像やMVなども手掛けてこられたと思いますが、最初に音楽に興味を持ったきっかけを教えてください。
最初音楽に興味を持ったのは、なんだろ。中学の時とかに友達とかの影響が大きいですね。モンパチとかハイスタとかからロックを知っていった感じですね。僕は京都の福知山という田舎の出身でレコ屋とかTSUTAYAとかも無くて、友達との情報交換か雑誌、ラジオが音楽の情報を知る術でした。Youtubeとかも誰も知らなかったですね。誰かが拾ってきたヤバい嘘みたいなロックの伝説みたいな情報を得て聴いた事もない音楽に目を輝かせている、キッズでした笑
3. どうして音楽に関わる映像を撮りたいと思うようになったのでしょうか?また、その魅力について教えてください。
最初はじめたのはライブ撮影でした。そこから何度も撮影を重ねているのですが、ライブ映像の撮影は、未だに毎回毎回、四苦八苦しながらやっています。自分が何をその場でカッコイイと感動しているのか、それを見せるのがライブ映像の魅力だと思います。カメラマンが僕だからこそ、この映像という物がある。毎回同じという物がない、そういう面白さがありますね。
4. 映像を撮るにあたって、先に何か撮りたい具体像があって撮られるのでしょうか?それとも撮った先に見えてきたものを作品へと仕上げるのでしょうか?映像を撮られるときの手法を教えてください。
僕の場合結構、行き当たりばったりかも、、、。
コンセプトだけ先にあって、こういうイメージ、こんな事やってみたいって現場でアイデア出して動いてもらう。アメリカツアー中に撮った「DNA」や「NO GOD」のMVはまさにそんな感じでした。
5. ドキュメンタリー映画『Tribe Called Discord : Documentary of GEZAN』に映るGEZANの姿には引き込まれるような魅力を感じました。人の持つ魅力をありのまま映すような映像だと思いましたが、撮りながらどんなことを意識されていたのでしょうか?
一番意識したのは、マインドでした。
英語出来ないけど、何か喋りたいって気持ちはずっとあったんで、劇中では使ってない場所でも果敢に声かけたり話そうという姿勢だけは崩さないように心掛けていました。色んな人と出会えて泊めて貰ったりした裏には、そういう気持ちが大切だったし、映画にとっても、一番大切なものでした。
6. 映像を撮影し編集する中で、どのような視点を持つように意識されていますか?
自分の目線ですね。セルフドキュメンタリーという意味ではなく客観的に撮るとか、客観性のある話よりも主観の方が自分には向いているのかと思います。
7. 神谷監督が撮られたドキュメンタリー映画は、様々な価値観が存在することをそのままに伝えるような映像で、それはGEZANの自主レーベル十三月が主催する全感覚祭の中にも同じものを感じました。全感覚祭にも長年関わってこられたとお聞きしましたが、全感覚祭が自身に与えてきた影響はありますか?
そうですね、このフェスは毎回、色んな課題を越えて成長していってて、色んな目標が出来るんです。それを各担当、各部署、越えてみんなで議論しフィードバックし成長していってる。こういう沢山人が集まってくる場所を作るというのは、色んな問題が出てくる。そういう時に普段見落としがちな事でも、沢山気づかせてくれるフェスです。
8. 2019年の全感覚祭もとても素晴らしいものだったと思います。大阪、渋谷、それぞれで印象に残ったシーンを教えてください。
去年はフードフリーという試みで、全国の農家さんとかから食材を貰ってお客さんに食事を振る舞うという挑戦をしたんですけど、そこで山形の農家さんに会いに行ってお話して食材を頂いたりして、普段音楽とかとは関わりがない場所から自分たちの試みを面白いと思って繋がれた、そういう特殊な出会いが出来たのは非常に面白かったです。
大阪では十三月で一緒に全感覚祭を作ってるTHE GUAYSのヒロシが入院し、出演が出来なくなり、クルーみんな心配してた。単純に最高な瞬間に一緒に居たいからみんな頑張って準備してきてるからショックでしたね。その後に大阪で会場近隣のお店から食中毒が発生し、イベントに来てたお客さんが被害に遭われた。この全感覚祭はいつも撮影していて思うんですが、お客さんもみんな最高な顔をしている。出演者とお客さんという垣根を越えた部分も一つ全感覚祭の顔だとも思ってて、そのお客さんが、最後まで楽しめず苦しんだという事実が、スタッフ一同悲しみに暮れ、衛生管理の徹底をより気を引き締め千葉の全感覚祭を良きものにしようとしていた最中、大型台風がイベントに直撃。と、かなり去年は自分たちが試される機会になりました。
その後、急遽渋谷にて開催場所と日程を変更し全感覚祭を行ったのですが、蓋をあければ物凄い人で、ほんとハロウィンとかでしか見た事がないような人が集ってとんでもない夜になった。”生きる”ことがテーマとなった全感覚祭だったけど、台風で恐ろしい夜を越えた人たちが一夜明け、踊り狂う夜になった。その姿が、単純に人のエネルギーや音楽や芸術に支えられている様を見た。このテーマがスッと直結した感覚に陥った。
9. GEZANのUSツアー同行、ドキュメンタリー映画の上映、2019年の全感覚祭という体験を通して、映像を残すことに対する感覚は以前と変わってきましたか?また、作品を撮るごとにどのような変化がありますか?
全然違いますね。
映画館で上映出来たということが大きかったです。
作品に対して人にちゃんんと伝えるという意識が変わりました。
やっぱ映画館は、ネットとは違い反応がダイレクトだし、出て来たお客さんの表情とかと直接会えるのは本当にいい経験だったし、またこの場所に帰ってくるという目標が出来ました。
10. これから映像を撮りたいと思っている人や、音楽に携わりたいと思っている人、何かに挑戦したい と思っている方にアドバイスがあればお願いします。
目まぐるしく、世の中は変わっていって自分というものさえどこにあるのか分からなくなる時があると思う。だけど自分がそこにいた。という事を残すのは素晴らしいことだと思う。葛藤しながらも旅をつづけてほしい。
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--------- Answer from Ryosuke Kandani
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『Tribe Called Discord : Documentary of GEZAN』を劇場で観たとき、この体験をする前と後とでは、彼らの見つめるものは大きく変わってしまったんじゃないかと思った。
大阪の全感覚祭を見た翌朝にも、その時と同じことを感じた。
そして、今、世界中のほとんど全ての人が感じていることではないかと思う。
混沌と激動の中を走った人達のストーリー。
自分は今どこにいるのか、その先に何を見続けていくのか、何を守っていけるのか。
今居る場所から、一体自分に何ができるのか。
葛藤の日々を生きるヒントが、この映像の中に隠されているかもしれない。
【Release】
「Tribe Called Discord~documentary of GEZAN~」
Now on Sale
価格:¥3,500(税別)
品番:JSGM-35
DVD 88+44min / Color / Stereo/1枚組
監督・撮影:神谷亮佑
製作:十三月
プロデューサー:カンパニー松尾
音楽:マヒトゥ・ザ・ピーポー
主演:GEZAN<マヒトゥ・ザ・ピーポー、イーグル・タカ、カルロス尾崎、石原ロスカル>、神谷亮佑
出演:青葉市子、テニスコーツ、原田郁子、THE NOVEMBERS 、行松陽介、UC EAST、imai 踊ってばかりの国、HIMO、呂布カルマ、やっほー 他
デザイン:マヒトゥ・ザ・ピーポー
photo:池野詩織
< 特典映像 >
〇 WESTCOAST TOUR ボディビルディングプロジェクト未収録映像
〇 2019.8.31 ライブ映像
〇 recording with Steve Albini -a Making of Silence will Speak-
十三月オンラインストア
https://jsgm-online.stores.jp/
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< 取材協力 >
BIG NOTHING / ULTRA-VIBE,INC.
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